ー前略ー
■諸葛孔明のような智将はいない
 『三国志演義』の諸葛孔明みたいに、何手も先を読みながら詰め将棋さながらに相手を追い詰めていくような手法は、
実は近年の中国はあまりやらない。というか、(演義の)孔明が没後1800年経った日本ですら有名なのって、ああいう人は珍しいからですよ。
中国人が孔明みたいな戦略を考える智将ばっかりだったら、本家の孔明は希少価値がなくなって、あんなに有名ではなくなってます。

 強国・中国のインテリジェンスや浸透工作、情報戦、といった言葉からは、私たちはつい『SPY×FAMILY(スパイファミリー)』の
敏腕エージェント・黄昏(たそがれ)ような、プロフェッショナルな工作員のスマートな工作や、敵を欺く用意周到な謀略といったものを想像しがちです。
ただ、それはあくまでフィクションの世界のお話。現実ははるかに粗雑で場当たり的なんです。すくなくとも、現代の習近平中国については。

■やっていることは“闇バイト”と変わらない
 ――ドイツ・ケルンでは現地の中華料理レストランが「海外派出所」を兼ねていて、そこから指示を受けた工作員の男が、
反体制派の中国人記者・蘇雨桐(スーユィトン)を恫喝していました。

 恫喝の手法は、合成ポルノ写真をネット上にばら撒いたり、ターゲットの名義で世界各地の高級ホテルを勝手に予約して
「部屋に爆弾を仕掛けた」と虚偽のテロ通報を行ったり。明らかに威力業務妨害などに該当する行為です。

 ただ、その手法は民間人のゴロツキやストーカーとあまり変わらない。理由は工作員の人材の質が極めて低いためです。
困窮した中国人や難民(つまり民間人)を、海外派出所が買収し、鉄砲玉として使っている。
すくなくとも一部について、中国の工作員たちは、
日本の「闇バイト」に応じて安価な報酬と引き換えに犯罪をおこなうような人々と似た層だとも言えます。

 中国の諜報機関とつながる「官製闇バイト」は、中国国内の倫理で言えば極めて「愛国的」な行為であるため、
日本の闇バイトより罪悪感は薄いのかもしれません。
オランダで民主活動家に殺害予告をおこなった中国人の大学院生(留学生)は、
逮捕時に「オレは罪を犯していない」「中国人が中国人を罰して何が悪い」と叫んでいたそうで。

 近年の中国国内で盛んな愛国プロパガンダを無批判に信じちゃった若者は、
大学院レベルの教育を受けていてもそういう価値観なんですよ。

■「国際テロ」は日本でも起きている
 ――同様の事例は日本でも起きているようですね?

 2023年1月ごろ、オランダ在住の民主活動家の中国人男性のもとに、日本の西新宿三丁目交番から電話がかかってきました。
男性の名義で付近の高級ホテルの部屋が予約され、そこに「爆弾を仕掛けた」というテロ予告がおこなわれたというのです。
もちろん、男性はホテルの予約もしていないし、爆弾もしかけていない。

 全世界の高級ホテルに『ブッキング・ドットコム』などで虚偽の予約をおこない、予約金もしっかり払い込んだ上で、
部屋に爆弾を仕掛けたとニセ通報をする。これはEU圏の中国の工作員が多用する攻撃手法で、
オランダ人ジャーナリストを含む複数の被害者が確認されています。日本の高級ホテルも、この工作のターゲットにされているようなのです。

 政治的動機にもとづいて経済活動や公共サービスを意図的に混乱させ、第三者に損害を与える行為は、
規模の大小を問わず「テロ」と定義されます。中国は日本に対して、堂々と「国際テロ」を仕掛ける国になっているわけです。

■「自由な社会」は工作員に好都合
ー後略ー
安田 峰俊

全文はソースから
PRWSIDENT Online 12/30(土) 11:17配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/0e5d8030d01a0b56c4a950388b7df89b6b7d426a