ー前略ー
武力行使を隠さない中国から台湾を守ることは、言うまでもなく「東アジアの平和」ひいては「世界平和」を守ることにほかならない。
しかし、安倍氏死去後、清和会は「後継」すら決められず、〝烏合(うごう)の衆〟と化した。
このありさまを生き馬の目を抜く政界が見逃すはずもなく、やがて派閥が検察に狙い打ちされたのである。

今後、親中派閥ばかりになった自民党で左翼リベラル政治家によって政権がたらい回しされるなら、日本の存続は極めて難しい。
その理由は「中国」にある。

福島第1原発の処理水が海洋放出された2023年8月24日以降、中国でどんな「動画」が喝采を浴びているかご存じだろうか。
代表的な2本を紹介しよう。

1本目は<日本は2つの戦争で中国人民に死傷者3500万人を生んだ国である。中国人民は、古い仇(あだ)と新しい仇を両方、
打つ。日本に対して、わが国が原則とする〝核先制不使用〟は適用しない。われわれは、必ず日本に核兵器を使用する>というものだ。

2本目は<広島や長崎で使用された原爆では日本を消滅させるのに420発もの数が必要になる。
しかし、わが国が持つ東風(トンフォン)41型核ミサイルなら、7発で日本を地上から消し去ることができる>という内容である。

いずれも、映像では核ミサイルが爆発して人々が焼け、溶けて死んでいくおどろおどろしい光景が表現されている。

この動画が喝采を浴び、同時に中国版SNSには、小学校での授業風景もよくアップされ、これまた反響を呼んでいる。

例えば、日本軍の「十の犯罪を挙げなさい」と先生に言われ、暗記した日本軍の犯罪を生徒たちが得意げに発表していくもの。
また、福島処理水の海洋放出にあたり、岸田首相の顏写真を出して、

「数十年後、君たちの子孫は人魚になるかもしれません。作文で罵(ののし)りましょう。日本を批判、批判、再批判するのです。
ペンを武器として持ちなさい」

と、作文での罵りを指導する映像だ。ほかにも幼稚園で日本兵に物を投げつけるものや、同じく日本兵の腹を突き刺す訓練など、
物事の道理もわからない子供たちの頭を「日本への憎悪」で染め上げていくさまが映される。まさに背筋が寒くなる光景である。

私は中国が民主化するかもしれなかった胡耀邦元総書記時代の1980年代から中国をよく訪問した。

日本に学び、技術や理論を吸収しようとした中国は、日本人を重んじ、こんな教育をする時代が来ることなど想像もできなかった。

しかし、胡耀邦氏の死と、その追悼のために天安門広場に集まった大学生たちが一網打尽にされる「天安門事件(6・4事件)」を経て、
90年代から江沢民元総書記の下で徹底した「反日教育」が行われた。子供たちは日本への憎悪で洗脳されていったのだ。

そして2023年12月13日、1188万人ものフォロワーを持つ中国の有名インフルエンサーがこんな主張を行い、
これまた拍手を浴びた。

「古い因縁を清算するのが私たちの世代の使命だ。日本は歴史を歪曲(わいきょく)する教育の下で、日本の侵略戦争は全て自衛戦争、
解放戦争、正義の戦争として美化された。

だから戦争で死んだ軍人や靖国神社の戦犯たちは国を守った英雄となっているのだ。われわれは謝罪を待っているのではない。
謝罪が役に立つなら、なぜ東風ミサイルが必要なのだ? 彼らが謝罪しても私はそれを受け入れない。
私たちは憎しみを手放す立場にはない。なぜアメリカ人は日本人への憎しみを捨てられたのか? 
なぜなら彼らは自らの手で広島と長崎を焼き払ったからだ。なぜロシア人はドイツ人に対する憎しみを捨てられたのか? 
それは彼らが自らの手でベルリンの地に赤旗を立てたからだ。
ー後略ー
■門田隆将

2023.12/31 10:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20231231-7ISS67GXYFIPXL3TW5JWN6BXTI/