年が明けたが、中国経済のお先が真っ暗なことは、今や中国国民の多くがよく知っている。

習近平党総書記・国家主席は不都合な真実を隠蔽する。国内総生産(GDP)など反響の大きい経済データは改竄(かいざん)疑惑がつきまとう。若者の失業率に至っては、2023年6月に21・3%を記録するや、公表をやめた。

昨年8月にノンバンク大手の中植企業集団とその傘下の中融国際投資信託が信託など金融商品の元利払い不能事態に陥ったが、金融監視監督当局は、はかばかしい収拾策を取らない。代わりに、暗躍するのは習氏直属の党規律委員会で、金融機関や党地方幹部の不正蓄財追及に血道を挙げている。当局に拘引されかけた関係者のビルからの飛び降り自殺も頻発している。海外に隠匿している資産がばれて、接収されるのを防ぐためという。

公安警察は中植・中融の各地のオフィスに連日のように抗議で押しかける投資家を常時監視し、反政府グループをつくらないように圧力をかける。信託商品の返済を滞らせている四川省の信託会社は投資家に対し、「共同富裕の原則に従い、富裕層への元本返還は投資額の4割にとどめる」と宣告する始末だ。共同富裕とは「マルクス主義に基づく特色ある金融の発展」をうたう習氏のキャッチフレーズで、平たく言えば、金持ちに対しては約束通りの返済はしなくてもよいという意味である。

知り合いの在日中国人によれば、中間層以上の人々の希望は一様だ。「日本でビジネスパートナーを見付けたい。会社を設立すれば、まとまったカネを持ち出せる」「東京都心の不動産を買い、母子を住まわせ、子供はインターナショナルスクールに通わせたい」といった相談が連日のように寄せられている。いわば「経済難民」だ。

中国景気は持ち直すのだろうか。一部の西側企業は依然として中国市場の成長を信じて投資を続けている。米金利が下げ局面に転じれば、中国は金融緩和しやすくなるとか、人民元安で輸出競争力が強くなるという見方が日本ばかりでなく米欧にも根強い。

バブル崩壊後の経済で肝心なのは財政と金融政策である。グラフは中国人民銀行の外貨資産および資金発行の前年比増減と、外貨資産の人民元資金発行に対する割合の推移である。中国金融の特徴は準ドル本位制にあり、流入するドルの量に応じて人民元資金を発行する。08年9月のリーマンショックでは米国の量的緩和政策によってドル資金が大量発行され、そのうちかなりの部分が中国に流入した。人民銀行は楽々と資金発行でき、商業銀行融資を拡大させ、景気を急拡大させた。

ところが、15年の人民元暴落不安以来、外貨の流入は止まり、金融拡大が困難になっている。21年末には不動産バブルが崩壊し始めたが、習政権は金融緩和、財政出動とも小規模にとどめ、毛沢東時代の共産主義イデオロギーを振りかざすしかないのだ。


田村秀男(産経新聞特別記者)
https://www.zakzak.co.jp/article/20240105-TYCQK5K455OTZPBOLCVJ3NTUKQ/

習近平はもう詰んでいる…「不動産バブル崩壊」の次に進む「中国人富裕層の国外脱出」の深刻すぎる状況 [12/25] [昆虫図鑑★]
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