最近の米国の世論調査をみると、韓国に戦争が起きても米軍は参戦すべきではないという世論が50%に近い。韓国としては大きな危機だ。その間、韓国は米国から特別な待遇を受けてきた。その理由は、東西対決時代に米国が支援した数多くの国のうち韓国だけが経済発展と自由民主主義を同時に成し遂げた、米国の対外政策成功のアイコンであるからだ。しかしもう冷戦は終わり、米国の力も以前ほどではない。さらに最近は北朝鮮がプーチン露大統領の支援を受けて米国全域を射程圏に置くICBMを保有し、米国のためらいはさらに強まるしかない。

北朝鮮がむやみに撃つミサイルに見えすいた脅しだけをする韓日米の連携は、今年の選挙でトランプ氏が勝利すれば形骸化する運命と考えられる。トランプ氏は同盟の重要性に全く比重を置かない。韓米FTAから在韓米軍までまとめて非難したトランプ氏が再執権すれば、韓米関係は大きく揺れるはずだ。何よりも金正恩委員長を友人と呼び、北朝鮮との取引を楽しんできたトランプ氏が、北朝鮮の核を容認しながら米軍撤収を強行する危険性もある。大韓民国としてはこの上ない悪夢だが、不幸にもトランプ氏を変化させる適当な方法は見えない。さらに今回は、前任期で彼の在韓米軍撤収主張を緩和した「部屋の中の大人(Adults in the Room)」の活躍も期待できない。軍事および外交政策専門官僚である彼らに対する反感が大きかったトランプ氏は、再執権すれば自分の言う通りに動く人物でキャビネットを構成すると公言しているためだ。

これに対しバイデン政権はトランプ氏がむやみに在韓米軍に手をつけられないよう国防権限法案を通過させたことがある。しかしあまりにも強力な大統領制の下でトランプ氏ができないことは事実上ない。トランプ氏の当選に備えて今からでもトランプ政権との関係上のポイントを見つけだし、独自核保有ディールも準備しておかなければならないが、何よりも直ちに進めるべき緊急な国家戦略はG9に加わることだ。過去に米国が強大だった時期には現在のG7が世界を率いる掌握力を確保していた。しかしロシア・中国・インド・ブラジルなどが急成長した今、G7は主導力を失っているだけでなく代表性も顕著に落ちる。したがって韓国とオーストラリアを加入させてG7をG9に拡大することで躍動性と代表性を増強する必要性があるだけに、韓国政府はこれを緻密かつ強力な論理に昇華させて各国の共感を引き出さなければいけない。

ドイツ・日本などG7国家もトランプ氏の各種圧力から抜け出すことはできなかったが、トランプ氏は韓国とは違い、これらの国に対しては安易に極端なカードを出すことができなかった。米国国民にG7国家は経済と安全保障の運命共同体「インナーグループ」と認識されていて、いくらトランプ氏でもむやみに行動するのは難しい。

したがって韓国は、トランプ氏が自身の治績である韓日米協議を崩すことを心配するバイデン大統領を説得し、彼の任期中にG9入りを実現させなければいけない。大統領のウクライナ電撃訪問で西欧が韓国を戦略的中枢国家と認識することになったうえ、韓国の防衛産業と半導体、バッテリーなどの先端技術が持つ魅力が非常に大きいため、バイデン大統領が積極的に動けば可能だ。

特に日本の同意が重要だが、過去に韓国は日本の安保理常任理事国進出に反対の見解を示しただけに、先に日本の国民感情を解消しなければいけない。全体主義国家に囲まれた韓国が崩壊すれば、次は日本になるしかないという点を論破すると同時に、フランス・英国のように韓日間海底トンネル建設を正式に提案してみるのもよい。

G9入りは首脳らの決定であるため、米国・日本両首脳との関係が良い今が適切な時期であるのは明らかだ。また、豊富な資源の経済大国であるうえ、台湾選挙の結果による中国の脅威で戦略的重要性が高まったオーストラリアと綿密に連携してシナジーを高めれば、バイデン大統領をはじめとする首脳らが両国の加入を迅速に決定するよう導くことが可能だ。

トランプ政権の4年よりバイデン政権の残り10カ月が韓国としてははるに有利であるために、政府は緊急にタスクフォースを構成して突き進むことを望む。

キム・ジンミョン/作家/リセットコリア運営委員

https://news.yahoo.co.jp/articles/1cc668463c8ff06644acdf0e9f9317485b9bba63