17日午前6時30分ごろ、慶尚南道金海市翰林面匙山野(キョンサンナムド・キムヘシ・ハンリムミョン・シサンドゥル)。洛東江(ナクトンガン)を臨む広大なこの野原は黒い墨で塗りつぶしたかのように暗かった。幅2メートルの狭い農道に沿って電信柱が立っていたが、よくある街灯ひとつ見られなかった。漆黒の闇に包まれた野原には長さ100メートル、幅5メートルのビニールハウスが至る所に設置されていた。イチゴを栽培する施設ハウスだった。最近、ここで出荷を控えたイチゴ1900キロが夜間に忽然と消える事件が発生した。

金海市・警察によると、先月末から今月初めにかけて翰林面匙山里・佳洞里(カドンリ)にある施設ハウス11棟からイチゴが盗まれた。市に盗難被害を届け出た農家は8軒。約80軒のイチゴ農家が集まる翰林面で、10軒に1軒が被害を受けたことになる。被害金額は2500万〜3000万ウォン(約275万〜330万円)と推算している。今月2日、被害農家が金海市などに届出て警察が捜査に入ったが、イチゴの行方は不明だ。

#【写真】イチゴが盗まれたビニールハウスの内部
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行政・捜査当局は盗難に遭ったビニールハウスが集落から500メートルほど離れているうえ、ハウスに防犯カメラなどが設置されていなかったことから被害が大きくなったとみている。事件現場付近にある防犯カメラは集落側の道路に設置されていて、被害ビニールハウスのほうは撮影していなかったためだ。またビニールハウスの出入り口は針金で扉の取っ手を縛るなどの特別な開閉装置もなかったという。現在までのところ目撃者もいない状況だ。

◇「金イチゴ、一番高いのに盗まれた」…農家の落胆も大きく

特に冬季はイチゴが「金の値段」になるため農家の落胆はより大きい。冬は寒さでイチゴが育ちにくく出荷量が少なうえ、ハウスに暖房費も多くかかることから春イチゴに比べて2倍ほど高い。イチゴ出荷時期は冬から春まで(11〜5月)だ。韓国農村経済研究院農業観測センターよると、平年基準11・12月のイチゴ卸売価格は2キロ当たり3万391ウォン・4万3329ウォンである反面、3・4・5月は1万6526ウォン・1万7595ウォン・1万7074ウォンだ。

被害農家関係者は「今イチゴが最も高価な時」とし「年間で最も気を遣って忙しく仕事をする時にハウスのイチゴが大量に盗まれてどうしたらよいか分からない」と呆然とした。翰林面行政福祉センター(村役場)関係者は「農業材や農産物でも小さな盗難はあったが、このように大規模に複数の農家が同時に被害を受けたのは初めて」と話した。

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中央日報日本語版 2024.01.18 08:48
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