米インド太平洋軍の次期司令官に指名されたサミュエル・パパロ太平洋艦隊司令官は1日、連邦上院軍事委員会の人事承認に関する公聴会で、中国が台湾を武力制圧した場合には「次は(沖縄県の)尖閣諸島や南シナ海に問題が及ぶ」と指摘した。

パパロ氏は公聴会での証言や提出書面で「仮に台湾情勢が力によって決着した場合、それで問題が終わるわけではない。尖閣諸島や南シナ海にも問題が及び、米領の北マリアナ連邦やグアムも直接的な脅威を受けることになる」と指摘した。また、米国が台湾防衛の意思を意図的にぼかす「あいまい戦略」への意見を求められると、「(米国の台湾政策の基本方針を定めた)台湾関係法で米軍の統合部隊の任務は明確になっている。国防総省は台湾が自衛する能力を支援し、台湾を助けに行く準備もする」と述べた。

中国がロシアのウクライナ侵攻から得た教訓については「侵略の無益さを学んだというより、事前の兆候を出さずに迅速に行動する能力構築を倍加させている」と警鐘を鳴らした。

一方、パパロ氏は、統合運用を加速するためにインド太平洋軍傘下に統合任務部隊を新設する案について「議会や国防総省と共に急いで取り組む」と説明。自衛隊が2024年度に常設統合司令部を設置するのに合わせて、インド太平洋軍の組織や指揮統制の仕組みを見直す考えも示した。【ワシントン秋山信一】

毎日新聞 2024/2/2 10:56(最終更新 2/2 11:38)
https://mainichi.jp/articles/20240202/k00/00m/030/038000c