・4日に88歳
北朝鮮に拉致された横田めぐみさん(59)=拉致当時(13)=の母、早紀江さんが4日、88歳の誕生日を迎えた。
拉致問題解決の糸口が見えないなか、早紀江さんは岸田文雄首相をはじめ、すべての政治家らに宛てた「手紙」を夕刊フジに寄せた。
被害者、そしてその帰国を一日千秋の思いで待つ家族は老いている。
早紀江さんは手紙のなかで、局面打開に向けた全力の取り組みと、一刻も早い具体的成果を求めた。
「再会に残された時間は、極めてわずか」(早紀江さん)だ。岸田政権は、痛切な思いにこたえられるのか。

《主権を踏みにじられ、多くの国民が連れ去られながら奪還できないのは『国家の恥』です》
《岸田首相には先頭に立って、決然とした姿勢で拉致解決の具体的成果をもたらし、日本の明るい未来を導いていただきたい》

早紀江さんは安倍晋三元首相、菅義偉前首相など、歴代の首相に折に触れて手紙をしたためてきた。
今回の岸田首相へのメッセージでは、もどかしさを吐露し、政府の全身全霊の取り組みを求めた。

・巧みな言葉にだまされないで、本質と真実の見極めを
岸田首相は昨年5月、拉致解決への決意を表明した。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記との日朝首脳会談実現へ、
「自身直轄のハイレベル協議」を推し進めると〝宣言〟した。

具体的な成果が見えないなか、先月、正恩氏から岸田首相宛てに能登半島地震を見舞う電報が発信された。
北朝鮮の最高指導者が日本の首相に公の発信を行うのは極めて異例なうえ、「閣下」という敬称を使うなど、
「強硬姿勢の軟化」と見る向きもある。

早紀江さんはこうした状況も念頭に、胸中をつづった。

《巧みな言葉にだまされないで、本質と真実を見極めてください》
《北朝鮮は駆け引きにたけています。日本政府は、積み上げてきた叡智(えいち)と経験を存分に生かし、臆せず、
難局を打開してください》

被害者の「偽遺骨」や?の死亡報告を提出するなど、拉致をめぐる北朝鮮の対日外交は「裏切りの歴史」なのだ。

拉致問題では、深刻な事態が進んでいる。その一つが、「高齢化」だ。政府が認定する未帰国の拉致被害者の親世代で存命なのは、
早紀江さんを含めて2人だけになった。

《ともに闘った家族、仲間は次々と天に召されました。病床に伏し、怒り、悲しみにくれながら被害者の身を案じ
世を去っていきました。先に逝った人々のためにも絶対に負けるわけにはいきません》

早紀江さんは夕刊フジの取材に、「手紙は岸田首相をはじめ、すべての政治家、官僚の皆さまへの思いを込めた」と語った。
手紙には、こうも記されている。

《拉致問題解決は国家の最重要課題とされていますが、国会の様子を見るたび、具体的な道筋が真剣に話し合われているのか、
疑問を禁じ得ません》《国家主権の侵害があれば、庶民が動きだすまでもなく、断固として立ち向かい解決するのが本来、
あるべき国の形ではないでしょうか》

日本政府は、一刻も早く被害者を救出し〝責務〟を果たさなければならないだろう。 (報道部 中村昌史)

2024.2/5 15:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20240205-KN4MXTEJSVPZDDWS44FJ6VIO44/

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