2021年に起きた日本脳炎ワクチンの供給不足により接種できなかった子供たちが、供給が回復した22年度以降も
未接種になっている恐れがあるとして、厚生労働省が注意を呼びかけている。
該当するのは主に今年4月から小学1年になる17年度生まれと、6年になる12年度生まれ。最大で約200万人に上る可能性がある。

日本脳炎は、蚊が媒介するウイルス感染症。発症すると2割以上が死亡、生存者の約半数に精神障害などの後遺症があるとされる。
ワクチンの定期接種は計4回。標準的なスケジュールでは3歳で1~2回目、4歳で3回目、9歳で4回目を打つ。

21年1月、ワクチン供給元の一つ、阪大微生物病研究会(大阪)が「製造上の問題が生じた」として出荷停止を発表。
製造過程で設備内に微生物が発生したという。

他メーカーを含めた全体の供給は2割減り、厚労省は21年度、1~2回目の人らを優先する措置を取った。
これにより3~4回目の対象者への、自治体からの接種の案内送付が翌22年度に延期された。

供給量は22年度に回復した。ただ医療機関への納入数は20年度約467万回分、21年度約245万回分、
22年度約422万回分。21年度に落ち込んだ約200万回分が、その後、上乗せされていない。

厚労省は、21年度に3~4回目の対象だったが延期され、現在も未接種の人に、改めて接種の案内を送るよう自治体に要請。
担当者は「母子手帳などを確認して、未接種であれば接種を検討してほしい」と話している。

日本脳炎 日本脳炎ウイルスにより深刻な脳炎などが起きる疾患。
人から人への感染はなく、ブタなどの体内で増殖したウイルスが蚊を介して感染する。
大多数は感染しても無症状だが、まれに6~16日間の潜伏期間後に発症することがある。
発症すると致死率は2割以上、生存者の約半数に後遺症があるとされる。
ウイルスは、東アジアから南アジアにかけて広く分布する。
国内では水田で発生するコガタアカイエカが主に媒介し、西日本を中心に毎年数例程度の患者の報告がある。

2024.2/9 14:58
https://www.zakzak.co.jp/article/20240209-3I7EYT5YKVMDTOCVXISRCK3FIA/