中国が旧暦上の正月「春節」を迎えている。春節の時期にあたるのは、2月10日〜17日。この期間は中国人にとって大型連休にあたるため、日本全国の観光地が賑わいを見せることとなる。そのため、景勝地には中国人を始め外国人観光客が大挙して押し寄せるわけだが、そうした地にある飲食店が悩まされ続けている問題があるという――。

インスタ映えスポットとして海外でも名前を轟かせる”スクランブル交差点”がある、東京・渋谷に店舗を構えるダイニングバー&カフェの店長が明かす。

「外国人観光客は、トイレを流さない人が多い印象があります。中には、トイレットペーパーを小さなサニタリーボックスに無理やり突っ込む人も。そのため、本来の用途である使用済み生理用品などが入れられなくなるんです。しかも、そこがあふれると、洗面台の下にあるハンドペーパー用のゴミ箱に入れる人まで。

ゴミ箱に入れてくれればいいほうで、床にトイレットペーパーを撒き散らすお客さんもいます。こまめに見回るようにして、トイレが汚れていないか確認するようにしていますが、次に入ったお客さまから、汚れていることを教えてもらうこともしばしばです」

と、まさに”汚トイレ”状態になることもあるという。店側は、なんらかの対策を講じていないのだろうか。

「うちのトイレは、レバーではなく壁に設置したボタンで流すタイプ。それがわかりにくいのかなと思って、英語と中国語で張り紙をしましたが、見ていないのでしょうね……。あと、ボタンの部分は日本語で『流す』としか書いていないし、上側にあってわかりづらい。

ボタンの周辺にも説明書きが必要だと思い、英語と中国語で“流す”と表記したシールを貼ろうかと思っているところです」(前出の店長)

■訪日外国人が困る「流すバリエーションの豊富さ」
インバウンド需要に沸く飲食店の懐を潤わす一方で、トイレを汚すなどの迷惑行為もあるという外国人観光客。トイレ研究家で世界トイレ協会理事でもある白倉正子さんは、「その人の育った環境のトイレ文化や習慣による影響は大きい」と指摘する。

「国によっては、ボットン便所に代表される“非水洗”トイレ文化の国も珍しくない。他にも、水の入ったプラスチック製や金属製の手桶とヒシャクが便器のそばにあり、自分で水を流すという方法があります。低い位置にある水道から自分で水を汲んでお尻を洗い、その後、やはり手桶の水で排泄物を流すのです。水洗トイレ以外がメジャーな地域で育つと、排泄物の除去方法が日本とは異なるというわけです」(前出の白倉氏)

加えて日本のトイレ設備は、“流す”方法のバリエーションが多いため、その豊富さが外国人観光客には、難しいのではないかと指摘する。

「海外では、水洗トイレを流す際にレバーを回すとかセンサーで流れるといったようにバリエーションが複数あるわけでもないでしょう。

一方、日本では、流すためのレバーがタンクの隣にあったり、和式だと奥にあったりします。またボタン式の場合でも便座の横にあったり壁にあったり……。壁に取り付けられたリモコン式のボタンの場合、流すボタンが正面ではなく、上面にあるケースも。

そのうえ“流す”には『大』と『小』があるし、温水洗浄便座では“おしり”や“ビデ”、水の勢いや便座の温度調節、乾燥用のボタンなど、たくさんのボタンが並んでいます。それらを見慣れない外国の人にとっては、どれを押せば水が流れるのかが容易には分からない可能性は大きいと思います。

しかも、手をかざしたらセンサーで流れたり、トイレから離れたら流れるといった非接触タイプも増え、戸惑う人は多いのではないでしょうか」(前同)

ではトイレの流し方がわからなかった場合に店のスタッフに聞けるかというと、一度、個室から出なければならないため、それもなかなか難しい。

「結局、流し方がわからないということで、そのままにして出てしまうんですね。

日本の水洗トイレは、使い方がわかればとても便利で衛生的なものですが、外国人には、それが裏目に出てしまい、複雑さが新しいトラブルを生んでいるのもたしかでしょう。訪日外国人の方には良く情報収集してほしいなと思いますし、ガイドブックなどにもいろいろなケースがあることを明記してほしいですよね」(同)

TOTOが売り出す、温水便座洗浄機ウォシュレットは、その機能の便利さから”クイーン・オブ・ポップ”として知られる世界の歌姫・マドンナ(65)も、こよなく愛したという。

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