【北京=三塚聖平】中国外務省は21日、王毅(おう・き)共産党政治局員兼外相が20日にフランスのマクロン大統領とパリで会談したと発表した。王氏は「中国は独立自主をフランスが堅持していることを称賛する」と評価した。米政権が同盟国などに対中圧力への同調を求めていることもにらみ、中国は欧州との関係強化を進めている。

王氏は、今年が中仏国交樹立60年に当たるとして「過去を受け継ぎ、未来を切り開く重要な意義を持つ」と訴えた。マクロン氏は「中国とともに今年のハイレベル往来をしっかりと準備することを期待する」と応じた。マクロン氏は昨年4月に訪中しており、習近平国家主席が国交樹立60年に合わせ近く訪仏するという観測が出ている。今回の王氏訪仏は、その地ならしの可能性がある。

王氏は「今後も引き続きフランスを含む世界各国に市場を開放する」と呼び掛けると同時に「フランス側も在仏中国企業のために公平で公正なビジネス環境を作ることを望む」とクギを刺した。欧州連合(EU)が中国製の電気自動車(EV)への中国政府の補助金を巡る調査を行っていることが念頭にあるもようだ。

習政権は、米国をにらんで欧州との関係強化を重視している。王氏は19日にはスペインのサンチェス首相とマドリードで会談。王氏は「中国はEUを多極化の枠組みの中の重要な力とみなしている」と強調した。その上で「中国とEUが団結、協力すれば陣営対立は起きない」と訴えた。

産経新聞 2024/2/21 18:42
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