午後4時45分、韓国南東部・大邱(テグ)市の名門国立大学、慶北(キョンブク)大から徒歩数分の住宅街。長いひげをたくわえたイスラム教徒の留学生男性ら10人以上が定時の礼拝のために一軒の建物に集結するのを、隣人女性(62)が苦々しい面持ちで眺めていた。「住民を敵視する彼らと、毎日顔を合わせるのが苦痛だ」

2021年、留学生らが計画したモスク(イスラム教礼拝所)の建設計画に近隣住民が反発し、対立が表面化した。住民側はイスラム教で食べることが禁止されている豚の頭を建設予定地の入り口に置いて焼き肉パーティーを開催。保守系キリスト教勢力も外部から合流し、反対運動はエスカレートしていった。

「豚肉集会」にも加わった隣人女性は工事妨害などで刑事告訴され、他の反対住民らとともに総額2千万ウォン(約220万円)以上の罰金などを科せられたという。「彼らは夜中の2時まで騒いでいたこともあるし、独特の香辛料の匂いが不快で地域を去った妊婦もいる。なぜわれわれ韓国人が生活を奪われなければいけないのか」

女性の訴えに対し、留学生らを支援するパキスタン出身の雑貨店店主(47)は「礼拝を始めた14年から7年間、クレームは一度もなかった。建設計画は法的な手続きを踏み、周辺住民にも事前に説明していた」と反論。「食事の匂いの指摘を受け、台所は設置しないなどの妥協案も提示したが、キリスト教団体の介入などで協議が困難になった」と訴え、議論は平行線をたどる。

現在、建設工程の不備が判明し作業は一時停止しているが、両者が和解に至る気配はない。「泥沼」対立の原因について、イスラム教徒の韓国国内への流入状況に詳しい西江(ソガン)大研究教授・李秀貞(イ・スジョン)は、地元行政の責任を挙げる。「当初は住民側の請求を受け工事中止を命じたが、『法的根拠に乏しい』として行政命令の無効が最高裁で確定すると立場を変えた。初めての経験で右往左往する間に、仲介役としての信頼を双方から失った」

不法滞在、犯罪の温床に

全文はソースで 最終更新:3/14(木) 8:27
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