2024年03月21日 取材・文/小峯隆生 写真/柿谷哲也

去る2月20日、オーストラリア政府が豪海軍増強調達計画を発表した。
3000~5000tクラスの汎用フリゲート艦11隻を海外から購入するという。そこには、我が国の海上自衛隊が運用開始している
「もがみ」型護衛艦の名もある。

その他には、ドイツのMEKO200型フリゲート、韓国の大邱級フリゲート艦、スペインのALFA3000の名が上がる。
予算は5兆3400億円で、2020年代後半から11隻を導入する計画だ。

突如始まった"フリゲート艦ワールドカップ豪大会"。一体この戦いはどこが勝つのだろうか。
「歩くジェーン年鑑」と呼ばれるフォトジャーナリスト・柿谷哲也氏に話を聞いた。

ー中略ー
――南下する中国海軍に対して、数で防御するということですね。すると、海自のもがみ型は有利になるのでしょうか?

「もがみ型に実際乗ってみて分かったのは、これまでの護衛艦に無い近未来的な設備と、
既存艦で慣れた使い勝手の良さとのバランスが良いと感じました。

そして艦艇は、多く造れば造るほど洗練されていくことは米海軍のアーレイバーク級駆逐艦を見れば分ります。
もがみ型は、発展型FFM(対潜防空能力を有し、機雷敷設も可能な多機能フリゲート艦の意味)として今後20隻以上、
建造されるので期待できます」

――ならば、日本は有利だと。

「いいえ。多く造られたという実績でいうと、ドイツのMEKO200がすでに34隻、完成し、豪海軍も導入しました。
独が今回提案するのは、MEKO A-200でステルス性を高めたタイプ。豪の要望である拡張性のある船体設計が可能です」

ー中略ー
――では、海自の強烈なライバルとなり得る韓国はどうなんでしょう?

「大邱級はもがみ型より一回り小さい3500tです。おそらく韓国は大邱級より大きく、
一番艦が今年秋に就役する忠南級4300tを提案するはずです。

両艦とも絶対に日本製よりも安いので、搭載するセンサー、武器類に豪は予算を掛けられるメリットがあります。
また、電気推進とガスタービンエンジンのハイブリッド式で燃費が良く、さらに静粛性が高いので、
敵潜水艦から被探知を防げます。

しかし何と言っても、今、全世界に向けてイケイケの武器輸出国となった韓国人ビジネスマンの存在が日本にとって最も脅威です」

――韓国は現在、世界第9位の武器輸出国であり、2022年には173億ドル(約2兆8000億円)とすさまじい売上を上げています。
日本は世界第7位、約13億ドルの武器輸入国です。勝負はあったんでしょうか......。

しかし豪は今回、最初に3隻購入して、残り7隻は現地生産をする予定です。これは日本にとって有利にならないのでしょうか?

「日独は造船所のドックに余力が無いため、豪の希望する日程に合せられるかがひとつの問題です。
一方で韓国は、中国、日本の造船受注の巻き返しで、造船所に余力があり、韓国が有利なのではないでしょうか......」

――やはり、韓国強し!

「スペインは実艦が無いのが弱みで、独は建艦能力に難があり、脱落する可能性はあります」

――すると、決勝は日韓決戦になる!?

「韓国はすでに世界を相手にする武器輸出国で、国家規模の武器商人です。
対する日本は平和国家で、作る武器は高価格かつオーバースペック。モノはいいが、
馬鹿丁寧な仕事が仇(あだ)となる可能性があります。
日本に一縷(いちる)のチャンスがあるとすれば、日豪安全保障協力という『仲間のよしみ』ぐらいでしょうか」
ー後略ー

全文はソースから
https://wpb.shueisha.co.jp/news/politics/2023/03/21/122633/