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ソン・ソックの少年時代を演じたのはカン・ジソクだが、顔はCGであることを明かしたイ・チャンヒ監督
(出典:カン・ジソクInstagram)

 人工知能(AI)が芸能界の仕事を占領するのではないかという、
懸念の声が韓国であがっていると韓国メディアのXsportsニュースが報じた。

 最近韓国芸能界では〝ディープフェイク〟やCG技術を利用した作品の完成度が高まり、
〝AIカバー曲〟が使われるなど、注目され始めているからだという。

 チェ・ウシクとソン・ソックが主演のNetflixドラマ「殺人者のパラドックス」では、
ソン・ソックの少年時代を回想するシーンが登場、演じる俳優があまりにもソン・ソックにそっくりだと話題を集めたのだが、
イ・チャンヒ監督が「演技は実際にやってもらったが、顔はソン・ソックの幼少期の写真を集めてCG処理をしている」と明かした。

 ドラマ「サムダルリへようこそ」でも、故ソン・ヘさん(22年死去)をディープフェイク技術で再現化。
故人の過去映像を集めてAIに学習させ、努力の末にソン・ヘさんをステージに立たせている。

 韓国歌謡界では、最近現地で大ヒットを記録した女性歌手、BIBIの「栗羊羹」の「AIカバー曲」がネット上に横行。
IUをはじめ、パク・ミョンス、チャン・ギハ、ヤン・ヒウン、ペク・イェリンなど他多数の有名人の声が無断で使用された。
楽曲を使われることで宣伝効果はあるものの、使われた声の主人公だけでなく、
楽曲を制作したクリエイターたちに収益は一銭も入らない。

 ディープフェイク技術やAIカバー曲は注意深く見聞きしなければ、実際の人の姿や声として認識され、危険性も大きい。
ここで発生する問題点についても、次々と問題提起されている。

 女性トロット(演歌)歌手のチャン・ユンジョンは、自身の声でカバーされた「栗羊羹」の曲を実際に聞き
「これはちょっと深刻。鳥肌が立つ。ディテールがすごく細かい」と嘆いた。

 またコメディアンのパク・ミョンスも「個人で楽しむだけなら(使われても)構わない。ただ販売をするとか、
それはちょっと違うのではないか」とし、「ボイスフィッシングをする悪い人間が、AIの声を活用することもあるのではないか」
と危惧している。

 そんな中、韓国のコメディアンであるソン・ウニは22日「有名人詐称オンラインフィッシング犯罪の解決を促す」
という記者会見を開き、声を上げた。

 ソン・ウニは有名人詐称と関連し、ディープフェイクに言及。
「国民的な関心、システム的な変化が必要だ。ディープフェイクを不思議に思うだけでなく、悪い犯罪にも利用される
『恐ろしくて悪いもの』ということを考えてみるべきだと思う。もっと大きな被害がなければいいし、
このような犯罪に涙を流すことがないよう、社会的な関心が必要だ」と訴えている。
椎 美雪

2024.03.23(Sat)
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