シャープが液晶ディスプレー事業を縮小する方向で検討していることが分かった。
かつて「液晶のシャープ」として知られた同社だが、事業の不振が続いており、大型液晶パネルを製造する完全子会社の
堺ディスプレイプロダクト(SDP、堺市)の生産停止を視野に入れている。拠点を減らし、財務基盤の改善を急ぎたい考え。
親会社の台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業の意向が焦点だ。

シャープは2024年3月期の連結純損益が2年連続で赤字となる見通し。赤字の主因であるSDPの売却先を模索してきた。
ただ、難航しており、生産停止が選択肢になる。5月にも発表する中期経営計画に盛り込む方針。
決定には鴻海との調整が必要で、曲折もありそうだ。

国内ではSDPの他に白山工場(石川県白山市)、亀山工場(三重県亀山市)、三重工場(同県多気町)があり、
車載やタブレット向けの中小型液晶パネルを製造している。3拠点は維持するとみられるが、詳細は今後詰める。

SDPはシャープが約4300億円を投じて09年に完成させた巨大拠点。
好調だった液晶テレビの世界需要拡大を見込んだが、韓国勢が有機ELテレビの量産化に成功し、市場を奪われた。
経営危機に陥ったシャープは16年に鴻海の子会社となった。

SDPの株式は鴻海創業者である郭台銘氏の資産管理会社などに段階的に売却して業績を立て直したが、
22年に一転してシャープが買い戻し完全子会社化した。23年3月期に2000億円超の損失を出し、
市場関係者からは「荷物の押し付け合い」と買い戻しを疑問視する声が出ていた。

陳信旭副社長は2月の決算会見で「ディスプレー事業の構造改革に取り組む。SDPを変革させる。
あらゆる可能性を探って活用方法を探していきたい」と話していた。

【シャープ】テレビや空気清浄機などの家電を手がける電機メーカー。2000年代に液晶テレビのアクオスがヒットし、
工場の地名を付けた「世界の亀山モデル」として知られた。液晶パネルへの巨額投資と市況の悪化で業績が悪化し、
16年に台湾・鴻海精密工業の傘下に入った。経営改革でコストを削減し黒字基調が続いたが、再び液晶事業が足を引っ張り、
23年3月期連結決算の純損益は2608億円の赤字に。24年3月期の純損益は100億円の赤字となる見通し。

2024.3/25 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20240325-LLMZAHSLPVLK3NEG7JWSEZDKZI/