中国が推し進めてきた巨大経済圏構想「一帯一路」に参加した途上国が、インフラ開発などのために中国から巨額の資金を借り入れ、膨れ上がった対中債務の問題が指摘されて久しい。その融資残高の総額は、元金だけで1兆1000億ドル(約166兆円)とも推測されている。そんな中、米投資情報サイトはこのほど、対中債務残高が多い国トップ20をまとめた。

米投資情報サイト「インサイダー・モンキー」は、トップ20リストをまとめるにあたり、世界銀行のデータバンクによる国際債務統計データ(最新のもので2022年)を使用し、それぞれの対外債務総額を調べた。対外債務残高とは、ある国の相手国に対する対外債務の総額を指す。

20位 アルゼンチン
対中負債総額 28億6000万ドル (約4336億円)

19位 モンゴル
30億2000万ドル (約4578億円)

18位 ブラジル
33億8000万ドル (約5124億円)

17位 コンゴ共和国
34億2000万ドル (約5185億円)

16位 南アフリカ
34億3000万ドル (約5200億円)

15位 カメルーン
37億8000万ドル (約5730億円)

14位 コートジボワール
38億5000万ドル (約5837億円)

13位 ベラルーシ
39億2000万ドル (約5943億円)

12位 カンボジア
40億1000万ドル (約6079億円)

11位 エルアドル
41億4000万ドル (約6276億円)

10位 ナイジェリア
42億9000万ドル (約6504億円)

9位 エジプト
52億1000万ドル (約7899億円)

8位 ラオス
52億5000万ドル (約7959億円)

7位 バングラデシュ
60億5000万ドル (約9172億円)

6位 ザンビア
60億8000万ドル (約9217億円)

5位 ケニア
66億9000万ドル (約1兆142億円)

4位 エチオピア
68億2000万ドル (約1兆339億円)

3位 スリランカ
88億4000万ドル (約1兆3402億円)

2位 アンゴラ
209億8000万ドル (約3兆1807億円)

1位 パキスタン
266億ドル (約4兆328億円)

同ランキングではアフリカ諸国が上位をほぼ占めた。トップ5は対中債務総額が日本円で1兆円を超え、1位のパキスタンが抱える対中負債総額は国家予算の約6割にあたり、3位のスリランカに至っては対中債務と国家予算がほぼ同額となっている。

パキスタンでは「一帯一路」の目玉事業として南西部のグワダル港などを拠点とする「中国・パキスタン経済回廊」の構築を目指している。だが、プロジェクトの一環として進められていた同国最大の都市カラチを中心とした環状鉄道の再建は、3年で完成するとされていたが、7年たった今でも一部区間しか運用されていない。

中国の融資増で「債務のワナ」にはまった国も多く、スリランカはその典型例として知られる。債務返済に窮したスリランカ政府は、一部債務の免除と引き換えに同国南部のハンバントタ港の運営権を中国側に99年間譲渡した。

TNL JP編集部
https://news.yahoo.co.jp/articles/10a5d95e65aa15748733b8e280b74e88b0afe83c?page=1