ー前略ー
 同性婚は2001年に世界で初めてオランダが法的に認めた。2024年4月現在、37の国・地域で同性婚が法制化されている。
2019年にはアジアで初めて台湾で、2023年にはネパールでも同性婚が認められた。

 直近では2024年2月、キリスト教正教徒が多数を占めるギリシャでも同性婚を認める法案が可決されている。

・札幌高裁での「画期的な判決」
 このような世界各国の動きに反して、同性婚の法制化が遅れていた日本だが、3月14日の札幌高裁判決が一つの試金石ともなりうる
とされている。

 「『戸籍上、同性の2人の結婚を認めない民法や戸籍法は憲法違反だと訴えた裁判』において、札幌高裁は「憲法24条1項に違反する」
との判断を初めて行ないました。憲法24条1項とは『婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを
基本として、相互の協力により、維持されなければならない』という条文です。

 この『両性』とは男性と女性の両方の性を指すというのが一般的な解釈で、これまで24条1項は『異性婚』を対象としていました。
それが今回の判決では『憲法上同姓間の婚姻も異性間と同程度に保障している』と判断したのです」(全国紙司法担当記者)
ー中略ー

・同性婚の反対意見に潜む「現代的レイシズム」
 日本において、「パートナーシップ制度」は2015年に東京都の渋谷区と世田谷区が初めて導入。
公益社団法人「Marriage For All Japan」によると、2024年3月1日時点で、導入自治体は少なくとも397と、
日本全体の人口に対するカバー率は80%を超えている。

 同性婚への反対意見には「伝統的な家族観が壊れる」「社会が変わってしまう」などが挙げられる。
しかし、これらの発言の裏にはある本音が隠されていると、谷口氏は指摘する。

 「昨年、性的少数者や同性婚について『見るのも嫌だ。隣に住んでいたら嫌だ』と問題発言をした元総理大臣秘書官がいましたが、
内心に秘めた気持ちがつい口に出てしまったのでしょう。反対派は表向きでは『日本の古き良き家族像が乱れる』などと言いますが、
漠然とした不安を煽っているだけ。本音はその差別感情を正当化するための発言としか私には思えない。
これは『現代的レイシズム』に近い状況といえます」

 谷口氏の言う「現代的レイシズム」とは、「社会的マイノリティの権利の主張を多数派の権利の侵害だとして反発する」
ことを指す。

 具体的にいえば、「すでに多くの自治体でパートナーシップ制度が認められていて、差別もなくなっているのだから、同性婚の権利
は過度な要求だ」といった主張に隠れている差別意識が、同性婚反対派の本音なのだという。

 さらに日本が同性婚法制化に後ろ向きである理由はこうだ。

 「日本と同性婚を認めている諸外国との差は『人権意識』の違いが大きい。日本の場合、同性愛者を差別してはいけないという
『意識としての差別』にしか目がいかず、『制度としての差別』に考えが至らない。

 しかし、同性婚が認められていない状態は『同性愛は普通ではない』『偏見や固定観念をもつことも尊重されるべき』
という差別の正当化にも使われてしまう。これは政治家だけに限らず、日本社会全体の人権意識の特徴といえます。

 人権が意識だけにとどまり、権利を保障するための制度を作らないという意味では、日本はむしろ、ロシアや中国、
イスラム圏の国と似た状況にあります」(谷口氏)
ー中略ー

 とはいえ、これから日本にとって参考になりそうな国もあるという。

 「これから研究したいと思っているのがタイです。同性愛に寛容で理解はされている、という印象がありつつ、
同性婚は法的に認められていない点で、タイは日本の状況にありました。
ー後略ー

全文はソースから
現代ビジネス 5/2(木) 7:03配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/4371391d272612be1cb6a2c20d6e2d2eb6626dbc