海外のカートリッジの出力電圧は信用してはいけない。
日本の JIS (廃止)ではステレオカートリッジの出力電圧は
1 kHz 45 度方向 3.54 cm/s (ピーク値)で測定することになっていたが、
1 kHz 水平方向 5 cm/s (ピーク値)で測定してもよかった
(単に左右 ch に同相出力が出る)。
ところが海外ではそうではなかった。
米国で一般的だったテストレコード CBS STR-100 では
1 kHz 45 度方向 5 cm/s (ピーク値)だったので、
同じカートリッジでも JIS より 3 dB 大きい出力電圧になる。
しかもややこしいことに単に 5 cm/s と書いてあれば
45 度方向か水平方向かわからないので換算のしようがない。
欧州ではまた異なっていた。

このため IEC では mV/cm/s という新表記を採用した
(意味は mV/(cm/s) で、この cm/s はピーク値ではなく実効値)。
JIS で 2.5 mV だったものは 1 mV/cm/s となるが、
この方法で表記されたものは見たことがない。