出来事と自己変容―ハイデガー哲学の構造と生成における自己性の問題
景山 洋平 (著)
出版社: 創文社 (2015/10)
1982年生まれ

景山 洋平
帰宅中。ハイデガーが「民族」という際、
「我々の一員だと感じられる集団」くらいの広がりで受け止めるのが第一であり、
ただちに「ドイツ民族」や「大和民族」等に概念が限定される訳ではない。
プロレタリアートやLGBTや被差別人種をそこで考えることだってできる。

重要なことは、そうした皮膚感覚のアイデンティティが、
ハイデガーが「存在」と呼ぶものとのアクセスから捉え直されるべきであり、
更に、このアクセスが、広義のアイデンティティを持続させる労働と防衛を支えることである。

また、大学という点で言えば、ハイデガーは当時の「学問の危機」の言説をある程度引き継いでおり、
技術化した近代科学の問題点は、そもそも「知」が一般的に成り立つ場面への遡行によって取り組まれるべきだと考える。
2016年4月28日