>>721-722
 自己完結している、というのはちょっと読めてないというしかないですね。

 というよりかそもそも〈自己〉という概念について、あれは根本的な
問いを発してる。たえず〈向こう側〉からやってくるのも〈自己〉であって、
いつの間にか抱え込まれ、包括され、塗りかえられていたりするのも〈自己〉

 そもそも何かが気になって行く、何かが許せなくなったり、或いは
素晴らしく思えたり惹かれていたり忘れられなくなっていたり。
そういうことってのは別に主体的に求めることもないまま何時の間にやら
なっている。

 すなわち人間には自分が意図的に求める訳ではないのにそうなる、という
側面がしばしばある。恋愛でもそう。「何故あんなのがいい?」と訊かれても
答えられない。しかし明らかに自分は惹かれている。

 人間には〈自己〉内部に〈他者〉を抱えているとしか思えない瞬間が
しばしばある。で、〈自己〉の本来性を自分に教えてくれるのも実はそういう
〈内部-他者〉だったりするわけです。