キリスト教では、ルターの時代まで、人の心の内は、神のみぞ知る対象だった。
ルターは、

“どのようにしたら人間が人の心を見たり、知ったり、裁いたり、判断したり、
 変えたりできるのか、私に言ってほしい。
 なぜなら、そのようなことは神のみに帰せられるものだからである。”

とし、以下の章句などを引用している。

“すべての人の心をご存じである主よ”(使徒言行録 1:24)

“人の心はなににもまして、とらえ難く病んでいる。だれがそれを知りえようか。
 心を探り、そのはらわたを究めるのは主なる私である”(エレミヤ書 17:9-10)

― マルティン・ルター 『ルター著作選集』 徳善義和訳 (2012)p409
  「この世の権威について、人はどの程度までこれに対し服従の義務があるのか」