『経済学批判要綱』は柄谷の『トランスクリティーク』における〈労働者=消費者〉という、
概念に端的な影響を与えていたのだな。

《資本を支配(・隷属)関係から区別するのは、まさに、労働者が消費者および交換価値
措定者として資本に相対する貨幣所持者の形態、貨幣の形態で流通の単純な起点になる、
ということなのであって、ここでは労働者の労働者としての規定が消し去られているので
ある。》(『資本論草稿集 2』 35頁 大月書店)

 は『トランスクリティーク』に引用されているし対抗運動への強いモチーフを与えている。
実際『要綱』では商品が消費されるか否かとは資本の限界をもたらす、という記述がよく
みられる。