アナクシマンドロスは、
万物の始原は、
ト・アペイロン(to apeiron、無限定のもの)であると考えました。

彼は、
万物の始原となるものは、
すべての存在がそこから生み出される
根源的な存在でなければならないが、

例えば、
水のような具体的な存在が、
万物の始原であるとすると、
水は、それとは正反対の性質をもった
火という存在を自分から生み出すことはできないので、
水は、火を含むすべての存在がそこから生み出されるような
根源的な存在ではありえない、という
矛盾が生じてしまう、

というように、
特定の性質をもった具体物は、
その具体物と正反対の性質をもった事物を、
自分自身からは生み出すことができないので、
万物の始原は、
特定の性質をもった具体的事物ではあり得ないと考えました。