「超越的」(独:Transzendent、英:transcendent) - 「超越論的」(独:Transzendental、英:transcendental)
こうした状況を目の当たりにしたカントは、「理性自体の吟味・批判」を通じて、
「人間の適正な理性的認識は、どこまで可能なのか」「人間の理性は、経験を超えた
(先験的な)「超越的」真実在(すなわち物自体)と、どのように関わるべきなのか、
関わり得るのか」についての、境界策定・基準設定(メタ規定)を行うことで、
「超越的」なものに対する考察・関与(すなわち形而上学)の余地を、適正な形で
復興しようと試みた。これがカントの「批判哲学」であり、「超越論哲学」(先験哲学)である。
なお、こうした「XX的」と「XX論的」という語彙の使い分けは、例えば、マルティン・ハイデッガーの『存在と時間』等における、
「存在的」(独:Ontisch、英:ontic) - 「存在論的」(独:Ontologische、英:ontological)
「実存的」(独:Existenziell、英:existent) - 「実存論的」(独:Existenzial、英:existential)
のように、カントの後にも受け継がれた。