これは誰もが持つ見解では?

(i)生殖の義務の非対称性―苦しむ人々を生み出さない義務はあっても、幸福な人々を生み出さなければならない義務はない。

(ii)将来の利益の非対称性―子供を作ることを、それによって利益を受けたいという子供の意志を理由にするのは奇妙である一方で、潜在的な子供の受ける害を理由に、子供に存在を与えるのを回避することは奇妙なことではない。

(iii)回顧的な利益の非対称性―苦しむ子どもを生み出すことも、幸福な子を生み出せなかった場合も、ともに後悔する対象となりうるが、本人のために後悔できる/気の毒に思えるのは苦しむ子供を生み出した場合だけであり、幸福な子供を生み出さなかったことで、本人のために後悔できる/気の毒に思えることはない。

(iv)遠隔地の苦しみと幸福の不在の非対称性―苦しみに満ちた異郷の地の住民について悲しく思うことはあっても、誰も存在していない場所に、そこに存在し得た幸福な人がいないことを、彼らのことを思って悲しく思ったりはしない。