宮台氏は1990年代、社会現象になっていた女子高校生による
「援助交際ブーム」に切り込む気鋭の社会学者として注目を浴びた。
援助交際を行なう女子高校生を取材した著書『制服少女たちの選択』はベストセラーに。
以降、多くのメディアで社会や政治を論評していたが、
「クズ」「ヘタレ」と舌鋒鋭い発言が賛否を呼ぶこともあった。

 事件当日もニュースキャスターの安藤優子氏と「タワマンに住むのは幸せか」という
テーマで対談した動画での発言について、ツイッターでユーザーと議論を交わしていた。

〈(タワマンに住むと)無刺激症候群になる〉
〈俺は金があるんだといってタワマンの上層に住む人はノータリン。頓馬〉

 動画で社会学の観点からこう発言していたところ、一部のユーザーから批判が
寄せられる。切り取られた言葉しか見ていないユーザーに宮台氏は
〈文脈を読め。頭わるいの?〉
〈究極の頓馬を発見したので、さらします〉
などと連日、応対していた。

 宮台氏は過激なワードをちりばめながら、「クソ社会」への警鐘を続けてきたという。

〈簡単に言うと『僕が経験した社会の劣化ってなんなんだろう?』ということが疑問
になって。もともと国家権力で日本社会の権力の歴史を研究していた昔とった杵柄
もあるので、そこは分析できるんじゃないかと思っていろいろ作業するようになった〉
(教育ジャーナリスト・おおたとしまさ氏の著書『麻布という不治の病』より)

 犯行には、宮台氏のスケジュールを事前に把握するなど計画性が窺える。
これもまた、宮台氏が説く「社会の劣化」の現われなのか。