ゲルマン民族は、土地を共有物として扱っていた。土地は、誰のものでも
なかったのだ。だから、自然からの恩恵によって、一部の人が得をしないよう、
平等な土地の割り振りを行っていた。富の独占を防ぐことで、構成員のあいだに
支配・従属関係が生じないように注意していたのだ。

同時に、土地は誰のものでもなかったがゆえに、所有者による好き勝手な
濫用から守られていた。そのことが、土地の持続可能性を担保することにも
なっていたのである。  

このように「持続可能性」と「社会的平等」は密接に関係している。この両者の
密接な関係こそが、共同体が資本主義に抗い、コミュニズムを打ち立てることを
可能にするのではないか。マルクスはこの可能性を強く意識するようになっていく。」

『人新世の「資本論」』斎藤幸平