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最早より最速の改革が急務、ドコモの人事制度

 「アマゾンや楽天と同じ方向を目指す」。エヌ・ティ・ティ・ドコモの加藤薫社長の弁だ。インターネットの総合サービス企業を目指すと社内に檄を飛ばす。では、脱皮するために必要なものは何か。
「人事制度の改革が不可欠。新入社員の時に幹部候補生を決めてしまう最早(さいそう)という人事制度は、仕事での実績がすべてというネット業界の人事とは全く違う」と、あるネット企業の幹部は語る。
 最早とはドコモで「最も早く」昇進する社員を指す言葉だ。新卒採用の社員から、幹部候補生を人事部が新入社員研修の間に選抜する。「最早」社員に選ばれれば、直属の上司の査定が悪くても、人事部が最も早く昇進させることも珍しくない。
 ドコモでは最近になって最早をやめたという。しかし、依然として「最早から外れたら、経営幹部の座に着くのはまず不可能」と、肝心のドコモ社員の一部が考えている。そして、最早から外れた、実力に自信をもつ若手社員たちが何人もネット企業に転職していると打ち明ける。
 ネット企業での経営幹部への道は、「最早」のような新入社員からの選抜制度とは全く異なる。仕事の結果がすべて。有名大学の出身でなくても、中途入社でも、結果さえ出せば若くして経営幹部に抜擢されることが当たり前の世界である。
 電話会社から総合サービス企業への転換を図るドコモ。「最早」と完全に決別し、ネット企業の実力主義を取り入れつつ、中長期での人材育成を図るという、新たな人事制度が必要なのではないか。