オレが五十年前、学生時代にラーメン屋でバイトをしていた時の実話です。
オレはめちゃくちゃ仕事ができたので、朝の仕込みも任されていました。
ある日、オレがが店長と2人で仕込みをしていると、ガラガラと入り口の扉が
開く音が聞こえました。そこで、「すみません、まだ営業時間前なんです」と
声をかけたんですが、入り口のほうを見ると、そこには誰もいません。

変だなと思いつつ、とりあえず扉を閉めにいくと、店長が「幽霊かもな」と
からかうので、「バカなこと言わないでくださいよ」と笑い飛ばしたそうです。
厨房に戻り仕込みを再開すると、またガラガラという音が聞こえました。
入り口のほうを見ると、今度はちゃんと本部の社員が立っています。
そして「今日は休みにするから帰っていいよ」と言うんです。
オレが「何でですか?」と尋ねると、「店長がさっき亡くなったんだよ」と。
驚いたオレが店内を見回すと、もうそこには誰もいませんでした。
でも、店長が担当していた仕込みは、しっかり終わっていたのです……。