ソニー「新規事業創出部」奮闘中 創部4年で7商品、低い貢献度…挑戦続く  2018.1.9 06:15

ソニーが、起業家を育てるために2014年4月に設置した「新規事業創出部」でヒット商品を生み出そうと奮闘している。社内オーディションを経て7商品の発売が決まったが、業績への貢献度はまだ低い。
携帯音楽プレーヤー「ウォークマン」のような画期的な新商品を目指して挑戦が続く。

新規事業創出部は、米アップルなどに押されて業績が悪化し、リストラを迫られた反省を踏まえ、平井一夫社長の直轄組織として設立された。オーディションに合格するなどして、一定の売上高を確保する計画を示せれば製品化される。
厳しい社内競争を勝ち抜き、今月中の発売を予定しているのが「toio(トイオ)」だ。コントローラーで操作するキューブ状の小型ブロックに自動車のおもちゃなどをのせ、専用マットの上を無線で動かして遊ぶ。
玩具メーカーのバンダイも対応商品を販売する。

オーディションには多くの社員が応募する。海外からの参加希望も増えているため、欧州にも新規事業創出の拠点を設けた。対馬哲平さん(28)は入社1年目で合格し、学生時代から構想していた
ベルトに電子マネーや歩数計などの機能を集約した時計を開発した。「大企業だからこそ、さまざまな視点の意見を社内で聞ける」と語る。
このほか、複数の家電のリモコンを一つに集約して操作できるリモコンや、三日坊主を解消するためのアプリなどが誕生した。

ただ、今のところ大ヒットはなく、広報担当者は「業績への貢献はほんのわずかだ」と話す。今月11日には、かつて一世を風靡(ふうび)した家庭向けの犬型ロボット「AIBO」の後継を売り出すが、
長期的な目標は過去の成功にとらわれない新商品の開発だ。