――将棋の電王戦などでは、対コンピュータに特化した(=人間相手には通用しない)「アンチコンピュータ戦略」というものがありましたが、そのような手は考えませんでしたか

「人間がまだコンピュータと良い勝負だということを示す」ための“ちょっとゴマかせる戦法”として「ブック進行」というものがあります

それは、強いコンピュータ同士が打った、決まった進行です
人間がマネしても「引き分けに持ち込める」「2石だけの負けに留められる」棋譜が数百通りあって、それをなぞっていけば、接戦に持ち込めます
しかし、ただただ暗記した進行をなぞっていくだけでは「良い勝負を演出する」だけなので、自分ではしたくありませんでした