ブラバン[津村泰水]

場所は広島。主人公は他片等、40歳男独身。客の少ないバーテンを経営している。

高校時代、東京に転校した先輩だった桜井ひとみが、
結婚式に、高校時代の吹奏楽部員が集まって演奏してほしいと頼まれ、部員を集める話。
現代と高校時代の話を2本立てにして書かれている。
元吹奏楽部員で、30歳以上の読者向け。

「下手くそでええ。学校のブラバンなんか、ほんまはそういうもんじゃ。
大勢が集まって必死になってでかい音を出して、それが誰かの耳に届いたら、いや届かんでも、それでえかったんじゃ。
就職して結婚して子供が出来て、楽器を手にする暇もないなって、
昔の必死の練習なんか全部無駄じゃったいうて悔やんだもんじゃが、他片の、それでえかったんよ。
音楽なんか無駄なんじゃ。ほいじゃけえこそ、いつまでも輝いとる」

という君島秀嗣の言葉が1番いい。