俺は暗闇の中で5178を操作した。

暗闇の中でいつもの聞きなれた音が9時を教えてくれた。
5178は昨晩搭乗後に現地時間に合わせたので9時を指しているが日本時間ではまだ朝の4時だ。

左手で窓のシェイドを少しだけあげたら、そこから眩い光が入ってきた。

眼下には雲海が見え到着までには少し時間があることがわかった。

顔なじみのキャビンアテンダントさんが、飲み物のオーダーを聞きにきてくれた。
俺はコーヒーをブラックで頼み、ライトをつけシェイドを下げた。

俺はコーヒーが来るまでのひと時を5178のブレゲ数字を見て心を落ち着かせた。
しかし5178の控えめなダイヤルはいつ見ても俺に謙虚という心を教えてくれる。

今日のビジネスにも相手から良い条件を引き出すには謙虚な心が必要だと思う。
そう思いながら俺は運ばれてきたコーヒーを口に運んだ。

https://www.patek.com/ja/コレクション/グランド・コンプリケーション/5178G-001