インドのカースト制度は「人種差別」。カースト廃止を望まない被差別層もいる現実
http://diamond.jp/articles/-/129413

カースト制の本質は「人種差別」

 作家の山際素男氏はインドの不可触民の実態を日本にもっとも早く伝えた一人で、
『不可触民と現代インド』(光文社新書)には、不可触民の政治団体バムセフ委員長によるカースト制度の説明が紹介されている。
ちなみにバムセフは、不可触民階層出身ののエリートであるカシム・ラムが創設した政治団体で、
2000年当時、会員は140万人を超え、全国に支部と協同組合を組織し、各種新聞を発行するばかりか、
インド最大(人口1億4000万人)のウッタル・プラデシュ州ではカシム・ラムの盟友
かつパートナーであるマヤワティー女史がBSP(人民大衆党)の党首となり、
ヒンドゥー主義政党であるBJP(インド人民党)と連立して州知事の座に着いていた。

 バムセフの委員長は不可触民を「ダリット(虐げられた人、倒れた人)」と呼び、インド社会の85%を占めるという。
インド社会はブラフミン、クシャトリア、ヴァイシャの15%の「高位カースト」が政治・経済・行政などすべての権力を握っており、
狭義の不可触民だけでなく、ムスリムや仏教徒、シク教徒、
さらにヒンドゥーの低位カースト(後進社会階層)を加えた残り85%の国民を“支配”しているのだ。
こうした世界観では、高位カーストは征服者であるアーリヤ人の末裔で、
大多数のインド人は宗教や身分、職業のちがいにかかわず、誰もが先住民の末裔である「ダリット」ということになる。
現代インドは3500年前と同じく、アーリヤ人種(白人)が先住民であるダリット(黒人)を差別し、抑圧し、奴隷化している「人種差別国家」なのだ。