>>187
今回の話の発端は、>>141
>もろに弘安の役で日本軍が江南海軍3500艘を壊滅させた影響じゃん。
にある。検討課題は、ベトナム遠征時元軍が日本遠征の影響で弱体化していた、という点にある。
大越史記全書と元史の当該部分を読み、大越史記の方が元軍の数値を大きく書いていたため、
数値が少ない=元軍が弱い、という点で検討課題に近い元史の数値を引用して検討していた。
大越史記の数値をそのまま使えば元軍強い、という結果になり、検討する意味がない、と考えてしまった。
しかしこれは今は浅はかだったと思う。

>信頼性の高い史書も低い史書もある

元史については編集が杜撰なのはよく知られているところだが、1331年まで編纂された「経世大典」を引用している
など、史料性の高い部分もあると考えられている。元史と大越史記双方で記載がある部分については
信頼性についてあまり議論の余地はないだろうと考えていた(しかし違うかも知れないので、信頼性について
記載した論文がないか探してみる予定)。また、新元史は、後世の著作とはいえ、文禄の役も詳細が記載されており、
その新元史と元史の陳朝遠征の記載がほぼ同じなので、元史安南史の信頼性については
あまり問題にしていなかった。

大越史記全書も、全書にしか記載のない部分は矛盾が散見されるのでこれまで
あまり引用しなかったが、今後はもっと多用しようと思う。また、同時代史料として信頼性が高い
とされる(「アジア歴史研究入門5巻のベトナム史料解説にそのように記載がある)
ベトナム人が記載した「安南史略」がネットで公開されているようなので、読んで比較してみようと思う。