『ヨーロッパーその歴史と精神』 320ページ
都市が獲得した自由、しかも所によっては、事実上の政治的独立にまで達した自由も、まさしくこれらの概念に根ざしている。
というのは、武装した市民共同体の砦としての都市は自己防衛の能力を有し、したがって、農民とは比較にならぬほど高度の自由を獲得することができたからである。

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ここにあるのは局地市場と、しばしばかなり発達した家内工業および村落工業をともなう農民的=農業世界である。都市は一方、支配層の居住地であり、支配層とそれに
奉仕する商人とが左右する遠隔地交易の拠点でもあり、さらに金銀細工のような特殊華奢品工業の立地でもあった。

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中世ヨーロッパにおいては、都市は農村とははっきり区別される。すなわち、封建的=農民的領域と都市的=市民的領域とは、組織的、政治的、法的、経済的に分離するののである。