ラテン語には冠詞がなかったが、俗ラテン語からロマンス諸語になっていく中で
指示形容詞(ill-us)から定冠詞が、数詞「1」(un-us)から不定冠詞が生まれた
古いゴート語の時代には冠詞がなかったゲルマン語群も、ラテン語とほぼ同じ経緯で定冠詞と不定冠詞が生まれた
英語でもtheのthはthis,thatのthと同源だし、
oneと同語源のanはさらにnを失ってaという変異形ができた(できた順番は逆ではない)
スラブ語は無冠詞の言語が多いが、ブルガリア語とその兄弟言語であるマケドニア語は
「バルカン言語連合」的な影響関係からか、後置定冠詞という特徴をアルバニア語、ルーマニア語と共有している
(ただし他のバルカンのスラブ語は無冠詞で、ギリシャ語は前置定冠詞)
ギリシャ語は定冠詞の登場が非常に早く、BCE8世紀に登場した古典語はすでに定冠詞を持っていた
さすがにミケーネギリシャ語やホメロスのギリシャ語には定冠詞はまだなかったらしいが、
いわゆる「暗黒時代」の間に発達させたのだろう