>>155
そもそも、ベトナム戦争というのはアメリカにとって大変衝撃的な戦争であった。

アメリカというのはなんだかんだいって歴史が短い。その上、戦争には非常に消極的な国だった。
今でこそ最後の超大国として世界中に軍隊を展開しているが、日清戦争の頃は総兵力わずか二万七千人
モンロー主義で知られておる通り、アメリカというのは他国の争いに介入しない国家であった。
米西戦争とか米墨戦争とかちょこちょこやってはいるものの、これらは基本的にはアメリカの国土が攻撃されたというのに
国民が怒ったからできたのである。まぁ今挙げた戦争はアメリカが起こしたと言っても過言ではない訳だが、
その外交を指導したのはホワイトハウスであり、アメリカ人自体は武力闘争に発展しなければ戦争にはならなかったろう。
やっぱり戦争というのは国民の全面的な支持を受けていないとできっこないからな。

こんなのであるから、アメリカは戦争ではズブの素人であったとも言えるのである。

しかも、アメリカはベトナム戦争に至るまでの間、『マトモ』な戦争ばかりしてきた。
南北戦争も米西戦争も米墨戦争も太平洋戦争も相手は制服を着た兵隊であり、
国際法を理解し守るちゃんとした軍隊であった。ところがベトナム戦争ではそうはいかない。
相手はベトコンだ。「国際法??なにこれ??これっておいしいの??」な連中だ。

アメリカ人にしてみれば、安全な筈の後方の村で休んでても、民間人に偽装した北の兵隊が襲ってくる場合もある訳である。
右を向いても左を向いても、前を見ても後ろを見ても、どいつが敵でどいつが無害な民間人なのか全く判らない。
敵がちゃんとした軍隊でまともに国際条約を守って、ちゃんとした戦闘を挑んできた第二次世界大戦までの戦争とは性格が全く異なるのだ。

捕虜になれば捕虜になったで国際条約なんぞ関係ない
「ジュネーヴ条約??なにこれ??これっておいしいの??」な連中だから、様々な拷問が加えられた。

ランボーの回想シーンでは、はりつけにされて刃物で切られたり
ハンマーで叩かれたりを延々と繰り返されたり、
糞尿や生ごみを捨てる場所として使われる蛸壺の底に幽閉されたりしておる。