>>325
中国の稲作地帯における淡水魚養殖は、実は水田よりも養蚕との結びつきが強い。
中国では古くから穀作農業と養蚕が組み合わされていて、
穀物と絹布のセットが主たる租税となってきたことを思い出していただきたい。

また、「四大家魚」と呼ばれる伝統的な養殖対象種、
ソウギョ、ハクレン、コクレン、アオウオの4種は、大陸大河川型の特異な繁殖行動をとっている。
つまり、産卵期になると大陸型の大河川を下流域や周辺の湖沼から遡上し、中流域でカエルの卵のような大型卵を産む。
産卵後、卵は大陸型のゆったりとした大河を流れ下り、下流域に達したところで孵化する。
孵化した仔稚魚は大河周囲の湖沼に移動するので、その移動経路で捕獲し、養殖池に放す。

養殖池は養蚕の副産物の蚕糞で施肥されていて、また桑畑の雑草が逐次投入される。
池に放された稚魚のうち、ソウギョは投入される桑畑の雑草を食って育ち、
ハクレンは蚕糞を肥料に増殖した植物プランクトンを、コクレンはミジンコなどの動物プランクトンを食って育つ。
アオウオは池の底に沈殿した有機物を食って増えるタニシを食って育つと同時に、蚕の蛹も餌として与えられる。

最後に、池の底に溜まっていく有機質の堆積物は桑畑の肥料としてリサイクルされる。