『バビロン』の題名が指すものって、やっぱりあの古代都市バビロンのことなんだろうか。the pillowsの『バビロン 天使の詩』くらいでしか聞いたことないからよく知らんけど。
要は、かつて栄華を極めた古代都市のロマンみたいな。

マヌエルが初仕事をしたあのジャック主演の古代の戦争映画で、撮影してるカメラに正面からズームインしてくカットがなんか好き。レンズの奥にギラっと光る眼が見えた気がした。たぶん全然気のせいなんだけど。
なんというか、とてつもない熱を感じた。


1920年代後半。1頭の像を車で必死に運ぶ男の姿があった。男の名はマヌエル・トレス。映画界の重鎮ドン・ウォラック邸のパーティで、像を使う出し物を行うためだった。パーティはこの上なく豪勢だった。何百人もの招待客の熱気に包まれ、酒と薬にまみれ、音楽と何百もの声が絶えず響いていた。そんなパーティに招かれていない客が現れた。ネリー・ラロイという若い女は警備員に止められるもマヌエルの手引きで屋敷に入り、山盛りの薬物を吸って(マヌエルもちょっと吸った勢いで映画への熱意を語りに語って)、その後大胆なダンスで招待客の注目を集めた。翌日の撮影を控えた女優が薬物の過剰摂取で倒れたことで、その場で最も目立っていたネリーが代役に選ばれた。一方でマヌエルは、酔い潰れた銀幕スターのジャック・コンラッドを自宅に送り届けた流れで彼に気に入られ、付き人として翌日の撮影に同行することになった。
ネリーは監督から次々と出される注文を易々とこなし、酒場の男たちを惑わせる踊りも、恩人と再会して繊細な感情が入り混じった涙の演技も披露してみせた。マヌエルはジャックや監督の無茶振りに機転と度胸で応え、報酬への不満を爆発させて暴徒化した大勢のエキストラを馬術と銃で黙らせて、乱戦の撮影で破損したカメラの代わりをロケ地から離れた町で調達して日の入りに間に合うよう救急車で道を開けさせて飛んで帰ってきた。
2人は念願だった映画の業界に入り、ネリーは一気にスターダムへのし上がった。