音を当てられるというのは、字を覚えるみたいなものですね。
字を覚えて、何という文字は何画かが分かったから学問ができるというわけではないでしょ。

音を聞き分けるなんてことは、聞き分けないよりはいいかもしれないけど、音楽の能力とは無関係だと思います。

そういう教育を受けた人がいまもかなりいると思う。パッと言ったらサッとわかるというような。
でもその人たちがみんな、いい演奏家になっているかというと、まずなっていないんじゃないでしょうか。

ヴァイオリン弾きには割合便利なんです。あれは木でつくった楽器で、放っておくとピッチ(音程)が変わるから。
それを変わらないようにコントロールしていくには、僕らいちいちピアノをたたいてやりますが・・・。

まあそのくらいの便利さはあるが、演奏に才能として現れてくるというのとは、別の次元の問題です。

音楽を上達するのは、音を覚えることでもなく、音楽を数多く聴くことでもない。
好きこそものの上手なれで、その人のキャラクターということになります。