今回の政府予算案では、財政赤字増加分が、1兆元、
ウイルス対策のための特別国債が、1兆元、
主にインフラ投資に向かう地方政府債権が、3.75兆元、
減税・社会保障費引き下げが、2.5兆元となっており、
合計8.25兆元(120兆円)が組まれている。

当初、リーマンショック時レベルの経済刺激策が打たれると
期待するエコノミストも少なくなかったが、それはかなわなかった。

2009年のリーマンショックで起こった金融危機では、
中国は、4兆元(当時のレートで60兆円)もの、超大型の景気刺激策を打っている。
インフラを中心とする大型公共投資によって、中国国内での需要が高まり、
中国はリーマンショックを無事乗り切って、
世界経済における圧倒的な存在感を高めるきっかけとなった。

今回計上されている8.25兆元のうち、
インフラ投資に使えるのは地方債の3.75兆元(57兆円)であり、
このうちのかなりの割合が、老朽化したインフラの改修や
5G網敷設や電気自動車普及のための環境整備などに使われることになる。

現在のGDPが、10年前の3倍ほどになっているのを考えると、
景気刺激策として小粒であることは否めない。
これは、リーマンショック時の大型刺激策があだとなり、
のちに不良債権問題を抱えて、いわゆる「ゾンビ企業」を数多く誕生させて
現在も後遺症に苦しんでいることに配慮したのだろう。