今年還暦を迎える自分の感覚は、もう古いのだろうか? 
ずっと以前からホースマンの夢はダービーを頂点としたクラシック競走制覇である。
牧場はダービーを勝つために情熱をかけてサラブレッドを生産しているし、馬主さんは皆ダービーを勝てる馬、ダービーに出られるような馬が欲しいと意欲を語る。
決してジャパンカップ、有馬記念とは言わない。←
それは、3歳クラシックが終わってからの話だからである。
そして、ダービージョッキー、ダービートレーナーという称号は極めて特別なものだ。
それは3歳クラシックがその馬にとって一生に一度しか走れない貴重なレースであるからに他ならない。
2歳秋の第1回登録から順次選抜されていく厳しい生存競争の中で、せっかく出走資格を得ても小さなけが1つ、些細(ささい)な体調不良で夢は水泡と帰してしまう。
ダービーに“次”はないのだ。だからこそホースマンは日々愛馬に細心の注意を払い、強烈なプレッシャーと闘っていく。
われわれにとって、クラシック競走の価値は計り知れないほど重いものなのだ。
しかし、多くのマスコミはその価値を理解していないようである。
いつ頃からそういう風潮に変わったのかはわからないが、現場は今でも変わらずダービーを目指し、クラシックレースを勝つために皆、努力を続けている。
このマスコミと現場の意識の乖離(かいり)が自分には残念でならないし、とても悲しい気持ちになっている。

https://race.sanspo.com/smp/keiba/news/20210120/etc21012004540001-s.html