来是空言去絶跡
李商隠

来是空言去絶跡
月斜楼上五更鐘
夢為遠別啼難喚
書被催成墨未濃
蝋照半籠金翡翠
麝薫微度繍芙蓉
劉郎已恨蓬山遠
更隔蓬山一万重

来るとは是れ空言 去りて跡を絶つ
月は楼上に斜なり 五更の鐘
夢に遠別を為して 啼くも喚び難く
書は成すを催されて 墨未だ濃からず
蝋照 半ば籠む 金翡翠
麝薫 微かに渡る 繍芙蓉
劉郎 已に蓬山の遠きを恨むも
更に隔つ 蓬山一万重

漢詩に、こういう耽美的で哀切な情の籠もったものがあるとは意外だった。
李白の「玉階怨」に並ぶ傑作だと思う。