中国で昨年から今年にかけて急速に普及しているレンタル自転車「シェア自転車」を展開する2社が6月、相次いで倒産した。いずれも、貸し出した自転車のほとんどが盗まれ、事業が成立しなくなったことが原因という。

 シェア自転車は従来のレンタル自転車と異なり、スマートフォンを使うことなどにより、どこででも乗り降りができる便利さが特徴だが、一方で利用者の「良心」に頼らなければならない側面もあり、やはり、マナーという面で中国では成り立たないのだろうか。

セキュリティーの欠陥につけ込まれる?

 中国メディアが報じたところによると、倒産したのは「悟空単車(Wukong Bike)」と「3Vbike」の2社。先に倒産した「悟空単車」は、今年初めに重慶で事業をスタートさせたが、当初投入した約1200台のうち約9割が回収できなくなった。多くのケースで電子キーを破壊されたという。

 また同社の自転車には、他社の多くに標準的に搭載されている衛星利用測位システム(GPS)が搭載されておらず、行方不明になった自転車を「追跡」することができなかった。このセキュリティー上の問題につけ込まれたらしい。同社は資金繰りが悪化し、倒産した。

 「3Vbike」は今年2月から河北省の廊坊市、保定市や福建省内でシェア自転車の事業を展開。こちらも開業後間もなく、投入した約1000台のほとんどが、キーを破壊されるなどして貸し出したまま戻らなくなった。

 同社は、全体の約2割程度の盗難は予想していたが、その割合が100%近くになることは想定していなかったという。

大手2社が資金力で圧倒

 中国でのシェア自転車の一般的な利用法は、利用する社に登録をした上で、その社の自転車を探し、自転車についているQRコードをスマートフォンで読み取って電子キーを解除して乗る。乗り終えれば再び自転車にロックをかけて駐輪する。利用した時間分を電子決済などで支払うシステムだ。

 シェア自転車の普及とともに新規の参入が相次いでいるが、中国国内では「ofo」と「摩拜単車(mobike)」の大手2社が業績を伸ばしており、ほかの社は資金力に乏しく、盗難防止に対するセキュリティーが万全でないケースも多いことから、盗難被害に遭いやすく、結果として経営悪化につながりやすいようだ。

 人口の多い中国だからこそ普及するビジネスのようだが、マナーの面では疑問符がつく中国だからこそ難しいビジネスでもあるようだ。

http://www.sankei.com/west/news/170723/wst1707230002-n1.html
http://www.sankei.com/west/news/170723/wst1707230002-n2.html

http://www.sankei.com/images/news/170723/wst1707230002-p1.jpg
中国の都市部で急速に普及する「シェア自転車」。駐輪場所には、各社の自転車が並んでいる=6月7日、中国・浙江省杭州(ロイター)
http://www.sankei.com/images/news/170723/wst1707230002-p2.jpg
中国の都市部で急速に普及する「シェア自転車」。セキュリティーが甘いと…=今年4月、北京(ロイター)