中国は今年、このペースでいくと、米国を抜いて世界最大の石油輸入国となる。アジアの燃料取引において支配を強めており、地域で最も重要な市場参加者としての地位を強固なものとしている。

政府統計によると、中国は今年上半期に初めて、米国よりも多くの原油を輸入した。中国の輸入量が平均855万バレル/日(bpd)であるのに対し、米国のそれは812万bpdだった。この傾向は、今後も続くと予想されている。

こうした変化は、世界の石油市場の中心が西洋から東洋に移ったことを示している。中国国営の中国石油化工(シノペック)(0386.HK)の商社部門ユニペックは今や、世界最大の石油貿易会社となった。

石油輸入量を増やす中国は現在、米国に次いで世界第2位の石油消費国となっており、とりわけ上海の原油先物市場が成長するにつれ、同国は原油の世界価格の決定において、極めて重要な役割を果たすことになるだろう。

中国による石油輸入量急増の背景には精製企業の能力拡大がある。だが、その供給を吸い上げるほど国内需要は伸びておらず、ガソリンと軽油の輸出量は記録的水準にまで増加している。

中国から輸出される大量の製品は、アジア諸国のライバル企業にとっては頭痛の種となっており、軽油の利益率は2016年、数年ぶりの低水準に落ち込んだ。

「中国は、東南アジアと豪州でのシェア獲得において、台湾や韓国、シンガポールといった従来の輸出拠点に対し、多くのプレッシャーを与えている」と、コンサルタント会社ウッド・マッケンジーのシニア・リサーチアナリストのジョー・ウィリス氏は指摘した。

石油精製能力の拡大と輸出増加の傾向は今後も続く見通しだ。

シノペックが最近行った説明会によると、中国は2020年までに精製能力を少なくとも250万bpd増やす計画だという。

中国石油天然ガス(ペトロチャイナ)は今年、南部の雲南省で26万bpdの能力をもつ製油所を稼働させる。一方、中国海洋石油(CNOOC)は広東省恵州にある製油所の能力を20万bpd拡大する見通し。

双方とも2018年までフル稼働しないものの、これら新規拡大により、中国の精製能力は今年35万bpd増えることになる。

コンサルタント会社FGEとウッド・マッケンジーの推定では、中国からのガソリン輸出は今年、少なくとも前年比1万bpd増加する見通し。今年の海外ガソリン販売を23万5000─24万bpdに押し上げ、2018年は約33万bpdとなると予想している。

ユニペックは新たな海外市場開拓を主導しており、6月は数年ぶりにジェット燃料をシンガポールから欧州北西部に輸送した。一方、中国の対フランス軽油輸出は今年2倍以上に、イタリア向けは4倍以上になる見込み。また、ケニアに初めて軽油を輸出した。

<高品質な燃料>

中国企業の攻勢により最もあおりを受けるのは、シンガポールや韓国、台湾の石油製品を輸出する企業である。

「われわれは現在取引のある国々で顧客数を増やし、新規市場の多様化と開拓をはかっている」と、韓国のある精製企業関係筋は匿名で語った。

「市場にプレーヤーがもう1人増え、韓国企業に影響を及ぼしている」

日本とインドの石油精製企業は、比較的影響は受けないとみられる。

中国とインドは、アジア最大の石油消費国だった日本を上回っている。人口減や電力・輸送部門における代替燃料の使用増加により石油消費量が減少しているため、日本企業は精製能力を整理統合している。

一方、インド企業は急増する国内需要を満たすことに注力している。

https://jp.reuters.com/article/china-global-rifiners-idJPKBN1AO05B?sp=true

>>2以降に続く)