北朝鮮 核実験場周辺で異変、“謎の病”「鬼神病」とは

6度目の核実験の成功で、祝賀ムードに沸く北朝鮮。今後も核・ミサイル開発を続けていく姿勢を示していますが、その影で、核実験場の周辺の街では「鬼神病(きしんびょう)」と呼ばれる原因不明の病に苦しむ、住民が相次いでいます。一体、何が起きているのでしょうか。

「私の家はここです。豊渓里(プンゲリ)が山の高い所にあります。当時は秘密軍事基地と思っていて、核実験場とは考えられませんでした」(脱北者の40代女性)

こう話すのは7年前に脱北した40代の女性。女性が住んでいたのは、地下核実験場「豊渓里(プンゲリ)」からおよそ20キロ離れた街でした。

「私が住んでいた吉州郡の住民は豊渓里から流れてくる水を飲むんです。仕事ができないほど頭痛がありますが、病院に行けば正常と診断されます」(脱北者の40代女性)

この街では、原因不明の頭痛や体重の減少など体調不良を抱える住民が相次いでいて、診断を受けても原因が分からないため、住民の間では「鬼神病」と呼ばれているといいます。同じ街から、おととし脱北し、発熱や頭痛に悩まされている50代の女性。原因不明の病は、若者の間でも増えていると訴えます。

「(30歳の)息子も結核にかかりました。病院に連れて行ったら、『なぜ最近、若い子たちが結核にかかるのか分からない』と医者に言われた」(脱北者の50代女性)

実態調査を行っている韓国の民間団体は、同じ地域から脱北した17人の聞き取りを行ったところ、似たような症状があることを明らかにしました。一体、何が原因なのか。韓国政府は先週、次のような可能性を示しました。

「被ばくの可能性は十分にあると考える」(韓国統一省 チョ・ミョンキュン長官、5日)

核実験場から漏れ出た放射線による健康被害の可能性を指摘したうえで、今後、症状を訴える脱北者の聞き取りを中心に実態調査する姿勢を示しました。今月3日に行われた核実験についても、韓国メディアは「実験が実施された坑道内で補修工事が行われていて、放射能漏れの可能性がある」と報じています。ただ、北朝鮮は、これまでも核実験による放射能漏れはないと強調しています。

「地表面の噴出や放射能漏出の現象はなかった。周囲生態環境に否定的影響を与えなかったということが確証された」(朝鮮中央テレビ、3日放送)

果たして、実態はどうなのか。脱北者の女性は、今回の実験以降、北朝鮮に残してきた家族の身を案じています。

「街の人は核実験の後、喜んでいると思います。(政府は)核実験が人の身体にどのような悪影響があるのか教えてくれない」(脱北者の50代女性)

「自らの政権を守ることが急務で、住民の安全は考えていません」(脱北者の40代女性)

核開発に邁進する北朝鮮。国連では新たに制裁決議がされました。核開発の阻止につながるのか、国際社会の厳しい目が向けられています。

ソース:TBS News 12日15時49分
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3155336.html?from_newsr