いわゆる「南京大虐殺」や「従軍慰安婦」で、中韓からバッシングを受け続けている日本だが、今後はイギリスとの間でも、歴史認識問題が巻き起こりそうだ。
「デイリー・メール」や「タイムズ」など同国の複数の保守系メディアが、第二次世界大戦中の旧日本軍による捕虜の扱いを、戦争犯罪として非難する記事を掲載しているのだ。

各記事でやり玉に挙げられているのは、1942年10月1日に日本の民間貨物船が上海沖で米潜水艦の魚雷攻撃を受けて沈没した「りすぼん丸事件」だ。
沈没当時、りすぼん丸には香港から移送中だった英国人捕虜1,816名が乗船していたが、そのうち800人以上が死亡。
記事は、彼らの死の多くが、旧日本軍による虐殺行為だったと主張しているのだ。

「これぞ日本の最凶悪戦争犯罪か?」という見出しが付けられた「デイリー・メール」の記事(10月24日付)では、「日本軍は、捕虜を助けなかったばかりではなく、(沈みゆく船の)船倉に閉じ込めた」「(避難のために飛び込んで)水中にいた我々を銃撃してきた」「(捕虜らを)救命ボートに引き上げてから撃つ日本兵もいた」と、生き残った元捕虜の証言を交えて当時の状況を伝えている。
その一方で、1,000人近くの捕虜が救出されたことについては、ほとんど触れられていない。

事件当時、りすぼん丸に乗船していた旧日本軍の兵士の証言などでも、避難の過程で監視兵が英国人捕虜に向かって発砲したことが語られている。
しかし、800人超の捕虜の死を日本軍による虐殺行為によるものという印象を与える記事は、恣意的としかいいようがない。

ちなみに終戦後、この事件の責任ついては、りすぼん丸の船長が捕虜虐待の罪でBC級戦犯として裁かれたのみである。
しかも、懲役7年の判決だったものが、その後5年に減刑されている。


「デイリー・メール」などが元捕虜の話として伝えた虐殺行為があったとするならば、この程度の責任追及では済まなかっただろう。
75年を経て英保守系メディアによって蒸し返された、りすぼん丸事件。
その背後には、どんな意図が隠されているのだろうか?

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