また西欧から伝わったケチャップやマヨネーズに関しても、日本メーカーがこれまで様々な料理用途に合わせて新商品を開発してきました。特に筆者が、神がかっている商品として絶賛したいのが「からしマヨネーズ」です。日本のマヨネーズは、発祥の地である欧州以上にその可能性を広げていると思います。ソースにしても、ウスターソース、中濃ソース、とんかつソース、お好み焼きソース・・・と実に種類が豊富です。

 このほか今回記事を書くにあたって初めて気が付いたのですが、中国では、ごはんに使う「ふりかけ」に当たる調味料が存在しません。

 先ほどの中国人の知人に、中国にはふりかけがないのか聞いてみると、「おかずの合間に食べる白米にまで、どうして味をつけようとするの?」と逆に聞かれてしまいました。言われてみると、もっともな指摘です。日本人は何でもかんでも味付けするのが好きだから、これだけテーブル調味料が発達したのかなとも思いました。

中国で高まるキユーピーの存在感

 中国で日本の調味料はどう受け止められているのでしょうか。いくつか中国メディアの記事を検索したところ、やはり「種類が非常に豊富である」と紹介している記事が見つかりました。中には「なんにでも醤油をかける文化が調味料の発達を促したのではないか」と分析している記事もありました。

 中国人の知人たちにも「日本の調味料を使うことがあるか」「気に入っている日本の調味料は何か」と尋ねてみました。すると、柚子胡椒やからしソースなど、やたらマニアックな調味料ばかり挙げてきました。もうちょっと一般的なものはないのかと問い直したところ、「キユーピーのサラダドレッシングは中国でも認知されてきている」との答えが返ってきました。

 前述した通り、中国ではこれまで生野菜を食べる習慣がなかったため、サラダドレッシング市場はほぼ存在しないに等しい状態でした。しかし近年になって食の西洋化、並びに健康志向の後押しもあって、大都市限定ながら生野菜のサラダを食べる人が徐々に増えてきています。それに伴い、サラダドレッシングの消費量も増えてきました。

 キユーピーは1993年に中国市場に進出しています。これまでの30年近くのマーケティングの努力もあってか、近年は中国人の間で「キユーピー」がマヨネーズ、サラダドレッシングの代表的ブランドとして認知されてきているようです。上海市内のスーパーでも実際にキユーピーの商品を見かける機会が多く、その商品陳列数も他の欧米ブランドより明らかに多く感じられます。

 そうした市況を反映してか、キユーピーの中国地域における2019年の売上高は前年比11%増、営業利益は同31%増(どちらも現地通貨ベース)という成長を遂げています。

 日本はテーブル調味料を中心に多くの調味料が独自かつ高度な進化を遂げており、国際的に高い競争力を秘めている可能性があります。日本食と調味料をセットにして外国で食べてもらう機会を設けることは、大きな商機につながってくるのではないでしょうか。

(終わり)