韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の地盤沈下が止まらない。世論調査会社、韓国ギャラップの5日の発表では支持率が24%、不支持率が66%と危険水域だ。与党の内紛に加え、物価高に打つ手がない経済政策への不満も強いようだ。

尹氏の支持率は1週間前の調査より4ポイント低下し、下落傾向に歯止めがかからない。政党別の支持率でも与党「国民の力」が34%で、39%の最大野党「共に民主党」にリードを許した。

与党内で最近、尹氏の側近と李俊錫(イ・ジュンソク)代表の対立が表面化し、与党指導部の辞任が相次いだことが直接の原因だが、背景には経済への国民の不満も大きいとみられる。

韓国の7月の消費者物価指数は前年同月比6・3%上昇した。アジア通貨危機で国際通貨基金(IMF)の支援を受けた1998年11月(6・8%)以来、23年8カ月ぶりの上昇率となった。

韓国銀行(中央銀行)は物価抑制のため7月、初めての3会合連続利上げで政策金利を2・25%まで引き上げたが、ウォン安ドル高は止まらず、1ドル=1300ウォンを突破している。金利の上昇はローンを抱える人や自営業者の生活を苦しめる。

サムスン電子など一部の財閥系企業は好調だが、韓国国内の経済格差は大きい。2020年時点の66歳以上の高齢者貧困率が40・4%で、経済協力開発機構(OECD)加盟の先進38カ国中で最悪の水準だ。若者の雇用環境も厳しく、失業者の31%が15~29歳という統計もある。

公約に民間主導の経済再生を掲げた尹政権だが、経済無策のままでは支持率の回復は望めそうもない。

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