台湾外交部(外務省)は1日、2019年に焼失した沖縄県の首里城再建に使う建材として、
台湾産の紅ヒノキ5本を提供することを決定したと発表した。
台湾の紅ヒノキは柔らかく腐敗に強い特性があり、有名な神社仏閣や神殿などの建築に使用されている。
中国の覇権拡大に対峙(たいじ)する日本と台湾の連携強化が求められるなか、日台友好の証しとなりそうだ。

「互いに助けが必要な際に、手を差し出し合う良い循環の表れだ」

台湾外交部は、日本からの新型コロナウイルスワクチンの提供に触れつつ、こう表明した。

提供されるのは、20年に伐採した人工林のヒノキだという。台湾では環境保護の目的で木材の輸出が規制されているが、
間伐したヒノキであることなどから提供を決めた。
台湾は沖縄と気候が似ており、台湾産ヒノキは、1992年の首里城復元でも使われた。

首里城は2019年10月に火災が発生し、正殿や南殿を含む主要施設7棟、4000平方メートル以上が焼失した。

台湾の蔡英文総統は当時、「多くの台湾人が心を痛めている」
「首里城が再建され、かつての華麗な姿を取り戻せることを心より願っています」とツイッターに書き込んでいた。

日本政府は20年3月に復元に関する工程表を発表し、昨年11月に正殿再建の起工式が行われた。
26年の復元を見通す。国産ヒノキを中心に使う方針を示しつつ、台湾産ヒノキの使用も検討すると記している。

政府の資料によると、かつて首里城に使用されていたと推定されるチャーギ(イヌマキ)や、
オキナワウラジロガシという樹木は希少材となり、大量調達の困難も課題に挙がっていた。

日台関係をめぐっては、台湾の游錫堃(ゆう・しゃくこん)立法院長(国会議長)らが先月、
沖縄県・与那国島を訪れたほか、民間を含め、さまざまなレベルで友好深化の動きが加速している。

中国事情に詳しい評論家の石平氏は「台湾の紅ヒノキの提供は、日本や沖縄に対する台湾の人々の友情や、
心持ちが自然と現れたものだろう。台湾有事の危機など、安全保障面でも台湾と沖縄は『運命共同体』だ。
細かいことからでも交流を積み重ねることは重要だ。
一部で、中国との友好を深める動きもあるが、沖縄にとって中国は脅威であり、台湾こそ友人だ」と語った。

夕刊フジ 2023.8/2 15:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20230802-NKWHRRTGU5PTRLNPWP2POIVBLQ/